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2007/01/02

韓流ブームと新井将敬

靖国神社に行ってきた。

毎年、初詣では靖国神社と決めているのは、たいした理由はないが、職業軍人の家系に生れたせいかもしれない。幼い頃は、自分は当然、軍人になるものだと思っていた。ところが、小学生の頃、目を悪くして、といっても単なる近視なのだが、航海士にはなれなくなった。僕は軍艦に乗りたかったので、軍人になることは諦めた。機関士になるという方法もあったかもしれないが、父親が航海士だったので子供だった僕は、航海士以外の船乗りというのはうまくイメージできなかったのだ。
その後、いろいろあって今の仕事をしているが、軍人さんにはどこかコンプレックスを感じてしまう。自分には出来ない大事な役割を果たしていただいているという意識があるからだ。そんなわけで、初詣では靖国神社に行く。もちろん御霊祭りも大事だが、あれは公式の大事な行事。初詣では個人的に大事な行事、という区分けを勝手にやっている。

ところで、去年の夏ごろから、妙に新井将敬のことが気になってしかたがない。小泉政権の後継者は安倍晋三で決まりと言われていた頃で、実際、安倍政権が誕生したわけだが、新井将敬が生きていたら彼が首相になったかもしれない。そんなことを考えていた。

新井将敬のことを初めて知ったのは80年代半ば頃だったと記憶している。若手政治家のホープとしてマスコミに登場した彼はなかなかカッコよかった。男性誌のグラビアに、ラフな格好をして4DWの愛車と一緒に映っていたが、当時は4DWに乗る政治家なんかいなかった。たまたま、僕の先輩が新井将敬の政策ブレーンになった関係もあり、彼の政治姿勢や人となりを聞くにつけ、ますますカッコいいと思うようになった。あの頃、実際に会うことが出来なかったことが残念だ。

新井将敬は、在日朝鮮人として生れ、18歳で日本に帰化したのだが、彼ほど日本を深く激しく愛した政治家はそう多くはないと思う。日本拳法の達人だったとも聞く。

その後、証券スキャンダルに巻き込まれ、1998年2月19日、無念の自殺を果たす。殺害説もあるが実際のところはよく分からない。

もし生きていたら、と考えてもしょうがないのだが、彼が首相になっていれば、北朝鮮や韓国とどのような関係を築けたのか考えてしまう。

新井将敬の講演録がある。
その中で彼はこう主張する。

評論家の中にも、たとえば、憲法九条という日本の絶対的平和主義というものを原理とし、この原理のために日本という国が存在しているという憲法学者は幾らでもいるんです。この議論をつきつめて行くと、国防もしない絶対的平和主義、とにかくこれは、議論をつきつめて行くと、かつての土井たか子の言っていたような完全非武装で、どこかの国が攻めて来たら逃げればいい、という議論にしかならないのです。 
絶対的平和主義を進めて行くと、人間は逃げたら命は助かるかもしれない。国を守らないで逆に死ぬのも皆さんの勝手かもしれない。それでは、この国を今まで造って来た人達の歴史はどこに消えて行くのですか、あるいは、これからの国を愛して住んで行こうとしている人達に何を残すのですか。
(中略)
民主主義というのは正しい解釈をすれば、死者との民主主義であり、これから生まれて来る子との間の対話であるというふうに考えなければ成り立たないのです。
(青年会議所発行「日本の正論」より)

講演の全文はネットにあるので、ぜひご一読ください。
http://www.kt.rim.or.jp/~tro/arai/nihon.htm

僕は、憲法九条に関して、これ以上に正しい主張を聞いたことがない。在日朝鮮人出身の新井将敬を、日本人以上に日本を愛した男と評するのはこの理由による。

何度読んでも、このくだりで僕は泣いてしまう。

死者と子供たちの間で生きることの意味を確認するために、やはり僕は毎年、靖国神社に行くのだ。

残念なのは、今の韓流ブームを新井将敬に見てもらえなかったことだ。日本人が、こんなにも韓国のスターやドラマや映画や音楽を愛するようになったことを、彼はどう感じてくれただろうか。帰化した人間のアイデンティティを推し量ることは僕には出来ないが、新井将敬にとっての韓流ブームとはどのようなものか、それを聞くことが出来なかったのはやはり残念だ。

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コメント

私は、新井将敬氏のことは良く知りませんが、講演録を読むとまさに正論だと思います。
日本の文化、伝統を継続させることは日本国民としての責任でもあるのです。
少なくとも天皇家の存続は日本人として絶対守らねばならぬ文化の一つでしょう。
話が、一見過激に思えるでしょうが、これこそが日本人たる由縁なのです。
非常事態に対応できないという話は、まさに的を得ています。
拉致された人を助けられない国を、誰が信用できますか、海外でクーデターに遭遇したら、
日本大使館ではなくアメリカ大使館か国連に逃げ込みます。
ほんと、政治家は、官僚の言いなりで体たらくになってしまった感があります。
憲法論議、大いに結構。世界に誇れるような、日本人による真の日本国憲法を作るべきでしょう。
そう言えばべ平連、社会党、反省してるんでしょうかねぇ。まあ、このくらいにしておきますが。

投稿: チョコ | 2007/01/02 05:03

チョコさん、こんにちは
新井将敬氏の講演録も読んでいただいたのですね。ありがとうございます。
天皇陛下についてのご意見はまったく同感です。
僕は天皇陛下の重要性を、ちょっと不敬かもしれませんが保険になぞらえて語ることがあります。平時においてはその大切さを理解することは難しいかもしれない。しかし、内乱とか外国の支配を受けたりという、本当の国難にあった時、日本という国の正当性をどこに求めるか。それは天皇陛下をおいて他ないのです。たとえば、外国の侵略を受けて天皇陛下が海外に脱出したとする。そこで天皇陛下、または天皇の任を受けた人間が日本政府の樹立を宣言する。たとえ海外にあったとしても、それは正当な日本政府であります。日本人も外国人も異議を唱えることはできないでしょう。
海外クーデターについては、商社マンの知人が海外赴任中に、実際にクーデターに遭遇したことがあります。その時も、日本大使館はまったく何の役にも立たず、大手商社の人間が協力して邦人救出にあたったと言います。民間の中にはサムライがまだ生きているのですね。
政治家や官僚はもちろんですが、僕らも民間の立場から日本を誇りある国にする努力をしていきたいですね。

投稿: 池内仁 | 2007/01/02 14:19

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